大学生くらいに小説をよく読むようになってから、子どもの頃はよく読んでいた漫画をあまり読まなくなりました。
大人になってから読んだ漫画というと井上雄彦さんの『バガボンド』くらい。
ひさしぶりに漫画を読もうと、ライトノベルとアニメから人気に火がつき、漫画化、映画化、ドラマ化までされた超人気作品『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』を読みました。
プロライターが読んだ『あの花』のキャラクター・あらすじ・感想を綴ってみます。
幼馴染み6人組で結成された『あの花』の超平和バスターズ
小学生の頃に仲の良かった幼馴染み6人組の話です。
6人は超平和バスターズというグループ名をつけて、自分たちのことをそう呼んでいました。
6人のうちの1人の女の子が事故で亡くなってしまったことをきっかけに残された5人も疎遠になってしまいます。
死んでしまったはずの女の子が、高校1年生になった6人組のリーダー格だった男の子の前に現れるところからストーリーが始まります。
ラノベから漫画化された人気のおすすめ名作『あの花』の登場人物・キャラクター
前列左じんたん、右めんま、後列左からぽっぽ、ゆきあつ、つるこ、あなる
(出典:http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im1220876)
主人公 宿海 仁太(やどみ じんた)あだ名は「じんたん」
- 小学生の頃は、幼馴染6人のリーダー格の存在だった。
- いじっぱり、悩みを内側に抱えてしまうタイプ
- 高校受験に失敗し、行きたくない高校に入学。今は登校拒否の引きこもり
- 「めんま」のことが好きだった
ヒロイン 本間 芽衣子(ほんま めいこ)あだ名は「めんま」(名前と苗字の頭をとって)
- がけから川に滑り落ちて亡くなってしまった女の子
- 天真爛漫
- さらさらとしたストレートヘアーで華奢で、男子からモテモテの女子
- 祖父が外国人のクォーター
- 「じんたん」のことが好きだった
久川 鉄道(ひさかわ てつどう)あだ名は「ぽっぽ」(鉄道だから)
- 幼い頃は冴えない奴だったが、じんたんが仲間に入れてくれたことを感謝している
- 高校には通わずバイトしてお金をためて世界を旅している
- いまは一番体が大きく、みんなのムードメーカー的存在
安城 鳴子(あんじょう なるこ)あだ名は「あなる」(苗字と名前の頭をとって)
- 幼い頃はメガネでくせっ毛だったが、高校デビューによりコンタクトと毛先カールに
- 今風の女子高生といった感じだが、本人は少し無理をしている
- みんなに優しくて、マンガやゲームが好きだった。多少、オタク気質あり。
- 「じんたん」のことが好きだった
松雪 集(まつゆき あつむ)あだ名は「ゆきあつ」(苗字と名前から)
- じんたんのライバル的存在でナンバー2だった。じんたんとはよくケンカし、意地を張り合っていた
- 今はじんたんが受験に失敗した進学校に通い、成績優秀。
- 「めんま」のことが好きだった
鶴見知利子(つるみ ちりこ)あだ名は「つるこ」(苗字と名前から)
- 成績優秀で大人びた性格。グループを一番後ろから見守っている存在
- ゆきあつと同じ進学校に通っている。
- ゆきあつが「めんま」のことで過去に捕らわれていることに気づいている。
ラノベから漫画化された人気のおすすめ名作『あの花』のあらすじ
(出典:http://kininaru-syumi.com/)
過去から立ち直れずにいるじんたんの前にめんまが現れる
亡くなったはずの「めんま」が、登校拒否でぐうたらと生活している「じんたん」の前に現れます。
「めんま」は生きている時に心残りがあって、願いを叶えるために戻ってきたと言います。
でもその願いが何なのかは、めんま自身も覚えていません。
内容は覚えていませんが、めんまは超平和バスターズのみんなじゃないと叶えない願いだったと言います。
めんまはみんなに願いを叶えてほしいのですが、今の超平和バスターズはバラバラです。
じんたんにははっきりと姿が見え、会話もできるめんまですが、他の人には姿も見えませんし、会話もできません。
ただめんまが皿を持ったり、扉を開いたり、花火をしたりするとそれは見えるので勝手に物が動き出したように見えます。
なので会話はできませんが、筆談はできます。
じんたんも自分のストレスからめんまが幻覚として見えるだけだと、はじめはその存在を信じようとしません。めんまに冷たくあたります。ショックでめんまはじんたんの元から離れます。
めんまは育った家に行きます。めんまの家族は父と母と弟の3人です。母は亡くなったメンマが好物だったカレーライスの日には、いまも仏壇にカレーライスを供えます。
母親はめんまの死から立ち直れず、過去の中に生きていました。
父親や弟はそんな母にイライラしていました。
めんまは自分の存在を家族に思い出させると、悲しませてしまうと育った家を出ていきます。めんまには行く場所がありませんでした。
めんまが亡くなった日、超平和バスターズに何があったのか
めんまが事故で亡くなる直前、あなるがじんたんに「めんまのことが好きなんでしょ?」とみんなが集まる秘密基地で聞きます。
じんたんは恥ずかしさから「だーれがっ、こんなブス!!」と言ってしまいます。恥ずかしさからじんたんはそう叫んだ後、みんなの秘密基地を飛び出します。
めんまもじんたんの後を追いかけて基地を飛び出しますが、じんたんには追いつけませんでした。
じんたんはそのことをずっとめんまに謝りたいと思っていました。謝りたいのにめんまが亡くなってしまったので、謝ることができなくなってしまいました。
あなるもそうでした。自分があんなことを言い出さなければ、めんまは事故に遭わずに済んだのではと思っています。
他の3人もみんなめんまが亡くなったことで、それぞれに責任を感じています。
そういった気持ちが残された5人を疎遠にしたのです。
秘密基地でぽっぽと再会
めんまがいなくなってじんたんはめんまを探し始めます。
めんまが行きそうな場所を考え、昔の秘密基地へ行きます。秘密基地は山の中にある小屋でした。
じんたんが秘密基地に行くと、小屋の中はきれいになっており、誰かが暮らしているようでした。そこで暮らしていたのは、かつての仲間のぽっぽでした。
ぽっぽは日本でバイトをして、海外に旅に出る暮らしをしていましたが、帰ってくるとここに暮らしていたのです。
じんたんはぽっぽにめんまが現れたことを話します。
誰も信じなかった話をぽっぽは信じます。ぽっぽはめんまの願い事をみんなで叶えてやろうと言います。
めんまもじんたんの家に帰ってきます。
ぽっぽがかつての仲間たちに声をかけていくと、ぎこちないながらもみんなが少しずつ、かつてのように交流し始めます。
みんなめんまの死に心残りがあり、めんまの願い事を叶えてやりたいと心の底では思っているからです。
めんまの願い事は何かがみんな分からないので、当時のめんまが望んでいたことから願いを推測して、叶えようとしていきます。
好きだったゲームのレアキャラを作りますが、めんまの願いは別でした。
偽めんまの正体はゆきあつ
ぽっぽが秘密基地の近くで、めんまの姿を見ます。めんまはじんたんの家にいるのにです。
秘密基地の近くで見た、偽めんまはなんとゆきあつがめんまに変装していたのでした。
カツラをかぶって、めんまがよく着ていた白いワンピースを着て、山を歩いていたのです。
めんまのことが好きだったゆきあつも、めんまの死を自分の責任だと感じており、そこから立ち直れずにいたための行動でした。
5人(本物のめんまも含めて)は、めんまに変装していたゆきあつを見つけます。ゆきあつはめんまへの後悔と執着の気持ちを5人に叫びます。そんなゆきあつの涙をめんまが拭いてやります。
わだかまりが少しずつ解けていき、みんなは協力してめんまの願い事を叶えてやろうと、再度決意します。
めんまの願い事を叶えるための打上花火
みんなはめんまの願いが何なのかを探るために、めんまの家に行き、日記を借りてきます。
そして入院していたじんたんのお母さんが治るように神様に手紙を送ろうとしていたことが書いてあります。ロケット花火に手紙を入れて、打ち上げようとしたのです。
でも難しくて小学生にはできませんでした。
これがめんまの願いなんじゃないかと思った超平和バスターズは打上花火を作ろうと、専門の人に頼んだり、バイトをしてお金を貯めたりと活動します。
お金も貯めて打上花火づくりに着手しようとしたところで、祭りの役員の方から反対されてしまいます。
その祭りの役員は、めんまのお父さんでした。めんまのお父さんは、めんまのことから立ち直れない家族にめんまのことを思い出させたくないため打上花火づくりに反対していたのです。
ゆきあつがめんまのお父さんに土下座して頼み込み、打上花火づくりに取り掛かれることになりました。
打上花火の完成が近づくにつれ、じんたんは悩み始めます。めんまの願いを叶えると、めんまがいなくなってしまうからです。じんたんはめんまの姿が他の人に見えなくても、そばにいたいと思っていました。
めんまと離れたくないじんたんですが、めんまのために打上花火づくりを続けます。
じんたんの涙
打上花火をあげる前日に、みんながそれぞれ心残りだっためんまへの思いを吐き出します。
みんなが心残りを吐き出せたことで前を向いて生きられるようになります。
じんたんもめんまが亡くなった日に、ブスって言ったことを謝り、好きだと伝えます。じんたんはめんまが他の人から姿が見えなくても、お願いを叶えずにそばにいたいと伝えます。
しかし、めんまはきちんと願いを叶えて、生まれ変わりたいと思っていることをじんたんに伝えます。
生まれ変わって、またみんなに会いに来ると言います。
打上花火を上げるも、めんまの願いは別だった
ついに打上花火を上げる日、めんまの家族も遠くから見守ります。
打上花火が上がっても、めんまの姿がなくなりませんでした。
めんまの願いは、神様に手紙を送ることでもなかったのです。
めんまの願い事が叶い、みんなの前から消えてしまう
打上花火を上げた日の夜、じんたんの家でめんまは倒れます。めんまが事故で亡くなった後、病気だったじんたんのお母さんも亡くなってしまっています。
めんまの願い事はじんたんのお母さんと約束した「仁太がみんなの前で泣く事が出来た時、自分の気持ちに素直になる事が出来た時…、本当の友達になること」でした
じんたんは強がりで、意地っ張りなので誰の前でも泣けませんでした。自分の中になんでも抱え込んでしまう性格を心配したじんたんのお母さんとめんまが約束したのです。
じんたんはめんまへの思いを打ち明けた時、みんなの前で泣きました。すでにめんまの願いは叶っていたのです。
最後にめんまをみんなに会わせようと、秘密基地に全員が集まります。
めんまはかくれんぼをしようと言い、隠れます。
みんながめんまを探しているあいだに、めんまはみんなに宛てて手紙を書きます。
そして、みんながめんまを見つけてかくれんぼは終わります。
みんながめんまを見つけると、めんまの姿は消えてなくなりました。
ラノベから漫画化された人気のおすすめ名作『あの花』の感想
(出典:http://tweetvite.com/event/fgyx)
かなり泣けます。ぼろぼろ泣きながら読みました。
電車で読むのは止めといたほうがいいです。泣きすぎて変な人だと思われます。
全体的に、懐かしくて、淡くて、ノスタルジックな雰囲気で自分にもまだ残っていた幼かった頃の記憶と心に刺さります。
誰もが小さいころに経験するような仲良しグループの話です。
秘密基地を作ったり、喧嘩をしたり、グループの中に小さな恋があったり、それぞれのエピソードを自分の過去と重ね合わせる人も多いのではないでしょうか。
わたしも小さい頃は外で秘密基地を作って遊んだり、ファミコン、スーパーファミコンとテレビゲーム世代でもあるので、漫画に出てくる話の一つ一つが懐かしく共感しました。
大人になってもうとっくに忘れたと思っていたはずなのに、子どもが純粋に友達を思いやる気持ちだったり、恋心だったりがどこか心の奥のほうに残っていて、その純粋な部分をぎゅっとつかまえられるようです。
切なくて少し苦しいのに、そんな純粋で美しいものに触れられてどこか嬉しくて心地良い気持ちになります。
自分の心にもまだこんなに純粋な部分が残っているんだなと。
もうとっくに違う価値観でもって生きているはずなのに、原点とも言えるような子どもの頃の記憶って、やっぱり強いんですね。
大人が読んでも、懐かしさに襲われ感情を動かされるいい漫画でした。
最近、心が汚れているなと思っている大人のかたにはおすすめです。読んだら浄化されますよ。
ラノベから漫画化された人気のおすすめ名作『あの花』おまけ
じんたんのTシャツに書いてある言葉
「地底人」
「無用心」
「火山」
「光速」
「一斗」
「サバイバル」
「笹団子」
「白ネギ」
「真心」
「匠の」
めんまが最後にみんなに書いた手紙の文面
「つるこへ。やさしいつるこがだいすきです。」
「ゆきあつへ。がんばりやさんのゆきあつがだいすきです。」
「ぽっぽへ。おもしろいぽっぽがだいすきです。」
「あなるへ。しっかりもののあなるがだいすきです。」
「じんたんだいすきです。じんたんへのだいすきは、じんたんのおよめさんになりたいなっていうそういうだいすきです。」
ひらがなだけの単純な文面ですが、漫画のストーリーとあいまって読んでいると泣けます。