(出典:photo by Stepan Tretyakov クリエイティブコモンズ)
勉強嫌い、勉強に疲れた、受験に失敗した…そんな時に気分転換・リフレッシュできるおすすめ小説
世の中に勉強より大事なことはあると思いますか?
こう質問されたら、多くの人は「あります」と答えるはずです。
世の中には勉強より大事なことがいっぱいあります。
いくら勉強より大事なことがあっても、それでも勉強に悩んでしまう時はあります。
勉強嫌い、勉強に疲れた、受験に失敗した…、
勉強に悩んだ時は気分転換・リフレッシュできるおすすめの小説があります。
『僕は勉強ができない』という山田詠美さんの小説です。
勉強が苦手な人は本を読むのも苦手な人が多いかもしれません。
でもこの小説は読みやすくて、面白くて、痛快です!
漫画を読むように面白く、すらすら読めます。
読むと「勉強ができないからって、それがなんだ!」ときっとすっきりします。
勉強に疲れたら気分転換・リフレッシュできる小説『僕は勉強ができない』
(出典:photo by freeflyer09 クリエイティブコモンズ)
あらすじ
主人公の時田くんは17歳の高校生。
勉強はできないけど、毎日楽しく学校生活を送っています。
時田くんは母親と母方の祖父と三人家族で育ち、暮らしています。
時田くんのお母さんは週末にはおめかしをして、息子である時田くんに褒め言葉を強要し、男の人とデートに出掛けます。
時田くんのお祖父ちゃんはもう髪の毛もない年齢なのに、散歩の途中に出会うおばあさま方に恋をして、その恋愛相談を孫である時田くんにします。
そんな家族のことを時田くんは
「素晴らしき淫売とくそじじいぶりのぼくの家族である」(P16)といいます。
こんな家族に育った時田くんの価値観も変わっています。
その価値観はモテ至上主義といってもいいかもしれません。
学校生活など時田くんの身辺で起こることが小説で綴られています。
勉強ができなくても、魅力的な時田くんの姿からモテ要素を学びましょう。
共感ポイント
『僕は勉強ができない』という小説を読んでいると、時田くんの痛快さにすっきりすることがあります。
この小説は本当のことが書いてあります。
時田くんはシンプルに本当のことを言ってくれます。
率直な時田くんの姿に読んでいると気分転換・リフレッシュできます。
たとえば、
学校の試験の後に、同じクラスの脇山という男子生徒が時田くんに声をかけます。
「時田、おまえ何点だった?」と。
そして脇山は時田くんに嫌味を言いながら、自分の点数を自慢してきます。
ネチネチと嫌味な脇山に時田くんは言うのです。
「でも、おまえ、女にもてないだろ」(P22)と。
この言葉に脇山は顔を真っ赤にして絶句してしまいます。
本当のことを言う破壊力ってすごいですよね。
たとえば、
学校でコンドームを落とした時田くんに、佐藤先生は怒ります。
佐藤先生は時田くんに口うるさく注意します。
でも時田くんは佐藤先生にいったい何を注意されているのか分かりません。
だから時田くんは佐藤先生に言うのです。
「ぼくは、まだ若くて、彼女に子供が出来ても育てて行ける筈がない。だから、こういうものを使うんだ。何故かって、真剣だからです。真剣だから、彼女の体を気づかうんです」(P107)と。
こんな本当のことを言っても、佐藤先生はまだ食い下がります。
時田くんの成績が悪いのはそんなことをしているからだと言ってきます。
時田くんは、
「セックスすると、成績が下がるって証拠でもあるんですか?」(P107)
とグーの音も出ないような本当のことを言います。
佐藤先生はますます怒り出してしまいますが。。。
気分転換・リフレッシュにおすすめの理由 読むと価値観が変わる。何より面白い!
モテることばかりをもてはやす小説のようですが、『僕は勉強ができない』という小説はシンプルに大事なことが伝わってくる小説です。
ここに書いてあることがすべて正しいなんて私も思っていません。
これも一つの価値観ですが、私は初めて読んだ時に新しい価値観を見せられたようで新鮮でした。
難しいことなんて何も書いてありません。
でも本当に大事なことは難しいことではありません。
人が人として生きるうえで、本当に大事なことはシンプルです。
『僕は勉強ができない』は勉強嫌いな人、勉強に疲れた人、受験に失敗した人が気分転換・リフレッシュするのにおすすめの小説ですが、勉強が苦手ではない人にも読んでもらいたい小説です。
勉強より素敵で大切なことがいっぱいあります。
<小説データ>
『僕は勉強ができない』
山田詠美
新潮社、文藝春秋
235ページ
1993年3月発売
本が苦手な人の読みやすさ★★★★★
おすすめ年代 10代~30代
おすすめ性別 どちらも
<作者プロフィール>
山田詠美(ヤマダ・エイミ)
1959(昭和34)年東京都生れ。1985(昭和60)年「ベッドタイムアイズ」(河出書房新社)で文藝賞を受賞しデビュー。
代表作は『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』(直木賞)、『アニマル・ロジック』(泉鏡花文学賞)、『風味絶佳』(谷崎潤一郎賞)など。著書多数。