中学生のみなさん、本を読んでいますか。
学校の先生やお母さん、お父さんなんかに本を読むように言われていませんか。
夏休みや冬休みには読書感想文の課題が出たりすることもあります。
本を読めと強制されると面白くないし、かえって読みたくなくなるものです。
わたしもそうでした。
大学生になるまでそれほど本が好きではありませんでした。
読書感想文なんかも面倒くさいなと思うだけでした。
でも、今では本が大好きです。
本って、人と同じで相性があります。出会うべきタイミングもあります。
そういう意味では、恋に落ちるのと同じようなところもあります。
もしかしたら、いまあなたは本を読むのが好きではないかもしれません。
でもそれって、本当にあなたに合う本と出会ってないだけかもしれないんです。
本屋さんに行って、ぐるっと本棚を見回してみてください。
たくさんの本がありますよね。この中からあなたに合う本を見つけるのは大変です。
人が一生のあいだに出会える本の数は限られています。
人が一生のあいだに出会える人の数が限られているのと同じです。
あなたがあなたに合う親友と出会えたら、とても素敵なことだと思いますよね。
それと同じように、あなたがあなたと合う本と出会うことも、とても素敵なことなのです。
あなたが素敵な本と出会うといろんないいことがあります。
あなたが辛いときに素敵な友達が寄り添ってくれるように、本もあなたの心に寄り添ってくれます。
あなたが会ったことのない人に会ったり、行ったことのない場所に行ったりするとあなたの知っている世界が広がりますよね。
本もあなたに新しい世界を教えてくれます。
人も場所も世界も、あなたに合うもの合わないもの、好きなもの苦手なものがあるように本にもあるんです。
だから、今あなたが本を好きでないなら、あなたに合う本に出会っていない可能性が高いです。
そんな中学生のあなたのために、おすすめの本を紹介します。
いい出会いのきっかけになればいいなと思っています。
紹介するのは、あなたと同じように中学生が出てくる2冊の本です。
同じ年代を生きている今だからこそ、いろんなことを感じ取ってもらえるんじゃないかなという思いです。
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中学生が読むべき中学生が主人公の本『我らが隣人の犯罪』宮部みゆき
1冊目は宮部みゆきさんの『我らが隣人の犯罪』です。
中学生が読むべき中学生が主人公の本『我らが隣人の犯罪』あらすじ
物語は主人公の中学一年生の少年・誠が、両親と妹の一家四人で、郊外のタウンハウスに引っ越したことから始まります。
都心へのアクセスも良く、緑に包まれた快適な環境・・・しかし喜びも束の間、住宅環境としてある問題が発生します。
その問題とは、隣人である独身美女の飼い犬、ミリーちゃん。
四六時中吠え続けるこのスピッツのために、一家の生活はくつろぎと無縁のものに。
困り果てていたところに訪ねてきた叔父さんが、誠に提案したのは「始末しちゃおう」でした。
こうして始まった「ミリーちゃん誘拐計画」は二転三転、思いもよらない方向へ進んでいきます。
ベストセラー作家、宮部みゆきのデビュー作
1987年にオール讀物推理小説新人賞を受賞した本作は、ミステリー作家として定評のある宮部みゆきのデビュー作。
短編に分類されるページ数のなかで、流れるように進む物語。
伏線に次ぐ伏線、その一つ一つが終盤ぱたぱたと種明かしされ、オチを読んで初めて、タイトルまでが伏線だったと知る。
まるで推理小説のお手本のような一作と言えます。
宮部みゆき『我らが隣人の犯罪』はどんな小説?
小説を「構成・物語がメイン」「登場人物がメイン」の2タイプに分けるとしたら、本作は前者に属しているでしょう。
もちろん登場人物の描写も魅力的です。
作家の北村薫氏も文春文庫のあとがきで、母親が卵のカートンを壁に投げつけるシーンを取り上げ、極限状態の表現としてすごいと絶賛しています。
とはいえやはり本を閉じた後、読者に印象として強く残るのは登場人物についてより、推理小説としてあまりに巧みな構成の方ではないでしょうか。
宮部みゆき『我らが隣人の犯罪』大人の望む子ども像
登場人物を「大人が描いた空想の子ども」という事実から見るとすると、この作品のもう一つのお手本的な一面が浮かんできます。
大人の望む子ども像です。
まず、大人は子どもに「いい子」であることを期待しています。
主人公の誠は「いい子」です。
独立・起業したはいいが、見切り発車だったのか非常に苦戦しているという、両親のみっとものよくない状況を見ても、否定的な感情は持たずただ心配する。
また、病気がちでしょっちゅう熱を出してしまう妹のことも、お荷物と考えるどころか、いちばんつらいのは本人だと気づかっている。
人の気持ちによりそえる、だからあまりわがままがない、ということは、勉強ができることより大人が「いい子」に求めている性質です。
では大人が子どもに望むのは、気持ちが優しく聞き分けがいいことだけでしょうか?
実は本作の主人公の妹・智子を通して、大人が子どもに望んでやまないもう一つの性質が現れています。
「子ども本人が成長したいと望む」ことです。
前述したとおり、智子は体の弱い子で、物語の当初はおとなしく自信なさげに描かれています。
それが、一連の誘拐計画に目を輝かせ、心配する兄をよそに積極的に行動し、どんどん明るく変わっていきます。
子どもはもちろん大人に守られるべき存在です。
だから大人も、守りやすくあってほしいという気持ちから「いい子」でいてくれることを望んでいるのでしょう。
しかし同時に、守られる立場に甘んじていてほしくないとも思っています。
チャレンジすることにわくわくしてほしい。
自分の力で何かをやりとげて一回り大きくなってほしい。
わがままや生意気はよくないことと言いながら、これはやっぱり「いい子であって」と同じくらい、大人が子どもに望んでいることなのです。
子どもの側からしたら勝手な希望、それも相反するような2つの希望を押し付けられるのは「めんどくさい」と感じるかもしれません。
とはいえ、「我らが隣人の犯罪」は推理小説として抜群に面白い一作ですので、ミステリーを楽しむついでに大人のめんどくさい希望にもチラッと目を向けて、どうか、ふうんとだけ思ってあげてください。
中学生が読むべき中学生が主人公の本『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』米原万里
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」は、著者・米原万里さんがプラハですごした少女時代を回想しつつ、音信不通になっていた3人の旧友を探し、再会するまでを描いたノンフィクションです。
1960年代、プラハのソビエト学校で共に学んだ彼女たち。
国籍はさまざまですが、みんな子どもながらに民族意識や共産主義に対する思い・価値観を持っています。
プラハの春や冷戦・ソ連崩壊と激動の時代に翻弄され、変わったこと、変わらなかったこと。
30年の時を経て再会した時、彼女たちは何を感じたのでしょうか。
中学生が読むべき中学生が主人公の本「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」あらすじ
米原万里さんの一家がプラハに移り住んだのは、彼女が9歳の時。
その後14歳までの約5年間を、妹とともに現地のソビエト学校へ通って過ごします。
米原さんはそこで身につけたロシア語を活かし、のちにロシア語同時通訳者として活躍。
また自身の経験から、文化・民族・政治といった題材を扱った、数多くのエッセイを執筆しました。
彼女の代表作の一つである本作は、旧友ひとりひとりとの再会を描いた3編からなっています。
『リッツァの夢見た青空』で再会するのは、ギリシャ人の少女・リッツァ。
勉強は苦手だけれどスポーツ万能・明るく無邪気な少女です。
また各国を転々としながら育ったためもあり、リアリストで度胸の据わった一面も。
抜けるように青いという祖国・ギリシャの空に思いをはせていた彼女は、その後どんな人生を歩んでいたのでしょうか。
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』で再会するのは、ルーマニア人のアーニャ。
「労働階級の人々のために日夜ブルジョア階級と戦っている」両親を尊敬し、大げさなほど共産主義をたたえる彼女。
正義感のかたまりで、友達が困っていたら全力で助けるような少女なのに、なぜかやたらと嘘をつく癖がありました。
その理由とは?
『白い都のヤスミンカ』で再会するのは、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。
とびぬけて優秀でクールな彼女。
最初は近づきにくい印象だったヤスミンカですが、本当は画家を夢見る人懐っこい少女で、マリ(著者)と親友になります。
しかし、離ればなれになった後に続いていた文通は、ヤスミンカの不安が感じられる一通で途切れてしまいました。
彼女に何があったのでしょうか。
どれもおもしろさも読みごたえもある物語ですが、表題ともなっているアーニャの物語については、ある後日談ともいうべきエピソードがあります。
米原万里「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」の感想
この作品のもととなっているのは、米原さんが旧友を探し出すまでを追ったNHKのドキュメンタリー番組。
米原さんと再会した時、アーニャはイギリスでイギリス人として暮らしていました。
祖国を捨てることに抵抗はなかったのかと尋ねる米原さんにアーニャは、狭い民族意識こそ世の中を不幸にしてしまう、民族や言語なんてたいしたものではなく、人間の本質はもっと別のもの、といった説明をします。
「私の中で、ルーマニアはもう10%も占めていないの。自分は、90%以上イギリス人だと思っている」
このアーニャの言葉に、視聴者からは「国際的」という観点から、肯定的な意見がよせられたそうです。
しかし米原さんは、このアーニャの言葉に否定的でした。
実は、アーニャを正義感の強い優しい子と考え、友人として大切に思っていたマリ(著者)ですが、一つだけ疑問に感じることがありました。
「共産主義者で平等のために戦っている」両親を持つアーニャですが、なぜかその一家の生活レベルはまさにブルジョアそのものだったのです。
しかしアーニャは、家政婦の女性をあごで使うことと、その彼女を(“平等”の意味を込めて)『同志』と呼ぶことの間に矛盾を感じていない様子でした。
また、アーニャの母国ルーマニアは国内が苦しい状況にあり、豊かな外国に亡命することはごく一部の特権階級の人々にしか許されないことでした。
アーニャはその特権階級に属していたのです。
しかし、アーニャは特権を利用して今の生活を手に入れたことにも、それができずルーマニアで苦しんでいる人々がいることにも、疑問や矛盾を抱いていません。
アーニャの言葉に米原さんは、母国の言語や文化といった民族意識から完全に自由になることはできないと答えています。
「国際化」の重要性はあちこちで耳にすることですが、そもそも「国際化」とはなんなのか。それを考えることもできる一冊です。
中学生のうちに本をたくさん読んで、いろんな見方ができるようにしておいてくださいね。
私が10代のときに悩みだったのがスキンケア。
悩んでいるあなたは、10代のスキンケアのポイントをチェックしてみてくださいね!

斉藤愛子

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