(出典:photo by YangChen(TW) クリエイティブコモンズ)
大学生が主人公の青春小説を読んで目標を見つけよう
「とりあえず大学に入ってみたけど、何をしていいか分からない」
「大学に入学してからもうだいぶ経つのにやりたいことが見つからない」
「授業に出てもつまらないし、恋愛もうまくいかない。バイトしてるだけ」
大学にとりあえず入ってみたけど、やりたいことが見つからない人って多いですよね。
私も大学生だった頃があります。
授業に出てもあまり興味を持てないし、恋愛もうまくいかない。
サークルには入ったけど、月に1回活動するくらい。
アルバイトをしているわけでもない。
何をしていいのか分からない時に出会ったのが本でした。
「大学生の時に何をしていたか?」と訊かれれば、「本を読んでいました」と答えます。
そして、今はライターとして働いています。
ライターであり、これまで1,000冊の本を読んできた私が大学生に読んで欲しい本を1冊だけおすすめします。
宮本輝さんが書いた『青が散る』という小説です。
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大学生が主人公で大学が舞台、恋愛あり・友情あり・葛藤ありの青春小説『青が散る』
(出典:photo by Illusive Photography クリエイティブコモンズ)
恋愛小説要素
この小説はこんなシーンから始まります。
小説の主人公である燎平はあまり行きたくない大学に合格し、入学するか迷っていました。
入学手続をするか迷いながらも大学の事務局に来た燎平は、同じように迷っている佐野夏子という美人に会います。
二人は少しだけ話をすると、夏子は入学することに決めて手続きを済ませ先に帰っていってしまいます。
燎平も夏子に会ったことにより、その大学に入学することを決めます。
このシーンが印象的なんです。
大学で夏子に再会した燎平はどんどん彼女に惹かれていきます。
小説を読んでいて、燎平と同じように私も夏子に惹かれてしまいますが、燎平の夏子への恋はうまくいきません。
なにせ夏子はどこにいても目立ってしまうくらいの美人だからです。
ハンサムでもなければ、お金持ちでもなく、人より分かりやすく秀でたところがあるわけでもない燎平の恋はうまくいかないのです。
ここがまた共感できるんですよね。
だからこの小説はいかにも恋愛小説っぽくは進行しません。
スポーツ小説要素
燎平はひょんなことからテニス部に入ることになります。
そこで部員たちとテニスに打ち込みます。
サークルのような遊び半分ではなく、かなり真剣にです。
若さというエネルギーをテニスに注ぎ込む姿は爽やかであり、心を打つものがあります。
そこでの努力、友情、勝利、敗北、才能との葛藤…。
そういった姿が美しいんです。
テニスの試合の心理戦の描写を読んでいると、テニスをしたことがない私もテニスの難しさと面白さが分かってきます。
青春小説要素
恋愛とテニスだけではありません。
燎平は多くの人たちと出会います。
多くの登場人物が出てくるのに、一人ひとりの登場人物がしっかり描かれていて、読んでいる私もその人物が好きになったり、嫌いになったり、みんな魅力的に描かれています。
金子、安斎、ポンク、貝谷、夏子、祐子、ガリバー、応援団の連中、田岡、夏子の母、フランス人のペールといった多くの人と出会うことで、燎平は成長していきます。
青春小説の醍醐味はなんといっても主人公の成長ですよね。
燎平は分かりやすく秀でた能力はないかもしれませんが、多くの人と物怖じせずに自分を持ちながら接することのできる、とても魅力的な人なのです。
応援団の連中、ヤクザまがいの団体、盛り場での飲み、才能との葛藤、大人との確執、夏子の家族との交流、燎平のことを好いてくれる女性…。
色々な場面で、燎平は燎平らしく振る舞い、乗り越えていきます。
書いていて、やっぱり燎平って格好いいなという気がしてきました。
でも、どこにでもいそうな普通の人として読めるんですよね。
不思議なんですが、主人公にとても共感できることも、この小説の魅力です。
心に残るラストシーン
この小説のラストはすごく印象的です。
今回この記事を書くにあたり、ラストシーンをもう一度読み返しましたが、やっぱりすごく心に残るシーンです。
昔も、今も、何度も燎平の気持ちを想像しました。
分かるような気もしますが、やはり分からない気がします。
ぜひ読んでみて、主人公の燎平の気持ちを想像してみてください。
複雑な気持ちになると思います。
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大学生が読むべき大学生が主人公のおすすめ青春小説の金字塔
(出典:photo by jorgemejia クリエイティブコモンズ)
『青が散る』という小説の魅力を言葉で表現するのは難しいです。
実に様々な要素の含まれた小説だからです。
恋愛小説であり、スポーツ小説であり、青春小説であり、純文学であり、エンタテイメント小説でもある、そしてどの小説としても素晴らしい小説です。
現実の大学生が考えたり、悩んだり、葛藤したり、経験したりする様々な要素がすべて盛り込まれた小説です。
そういう意味で、やはり青春小説という表現が一番ぴったりきます。
楽しいだけじゃない、辛いこともたくさんあるけど、こんな大学生活を送れたら成長できるだろうなという『青が散る』という小説。
二度と訪れることのない大学生活という輝かしい青春時代をこんなふうに過ごせたら、あなたも自分の大学生活のことを誇らしく思えるようになるはずです。
「やることがない」「やりたいことが見つからない」なんて言っている場合じゃないですよ。
あなたも読んだら大学生活を充実させたいという気持ちになれます!
画像が楽天ブックスにリンクしていますので、ぜひ見てみてください。
他の方が読んでどう感じたかレビューも見られます。
↓
<小説データ>
『青が散る』
宮本輝
文藝春秋
445ページ
1982年10月発売
本が苦手な人の読みやすさ★★★★
おすすめ年代 大学生
おすすめ性別 どちらかといえば男性
<作者プロフィール>
宮本輝(ミヤモト・テル)
1947(昭和22)年兵庫県生れ。1977(昭和32)年『泥の河』で太宰治賞を受賞しデビュー。
代表作は『螢川』(芥川賞)、『優駿』(吉川英治文学賞)、『約束の冬』(芸術選奨文部科学大臣賞文学部門)など。著書多数。
小説だけじゃなく、大学生が読むべき本があります。
頭の柔らかい時期だからこそ、読んでおきたいおすすめの教養本です。
難しい本ですよ。あなたに理解できるかな?
本を読みたいけど何を読んでいいか分からない大学生も教養として読んでおくといいです。
http://iiiyashi.com/065-2/
>みいさん
コメントありがとうございます。
大学生って、いい時代だと思います。もし私が神様に1年だけ好きな時に戻してあげると言われたら、大学1年生をもう1度やりたいです。
輝かしい青春です。
本が大好きなんですね。本ばかり読んでいて、このままじゃあ本だけで人生終わってしまうかもという気持ち、わかるような気がします。私も同じように感じることがありました。
私は本が好きなのはいいことだと信じています。若いうちから本を読んでおくと、その成果がもう少し年齢を重ねてから表れてくるような気がしています。みいさんの言うように本は新しい世界を見つめるのに有効な方法だからです。本の力を信じましょう。
「書を捨てよ、町へ出よう」なんて寺山修司は言いますけど、書を捨てるのは勿体ないので、文庫本をポケットに忍ばせて町へ出ることをおすすめしておきます。
本だけじゃなく、好きなこともバイトも勉強もすべてが楽しいのだから、きっとみいさんは町へも出ているのでしょうね。
「なにかしなきゃ」という思いがあるうちは大丈夫だと思います。
とりとめのない返信ですが、『青が散る』ぜひ読んでみてください。
みいさんが気に入ってくれるといいのだけど。
もし読まれたら、私には合わなかったという感想でもいいので、また教えてください。楽しみにしています。
> 澤野さん
返信ありがとうございます!
「もう一度大学1年に戻りたい」と思う程、素敵な青春時代でしたのですね。私もそんな1年だったのかな、今年。そんな風に思える大人になりたい、と改めて思い返しました。
残りの3年間、今は今しかないゆえに大切にしたいと思います。
もちろん、町へに出るしても必ず文庫本はお供させます。そして外国に出ていっても、きっとポケットには本が詰まってます。
本当、本の世界だけじゃ、この日本だけじゃもったいないと思ってしまって。世界は広いのに、なぜ自分はここい居座ってしまっているんだろう。と考えてしまったり。2回ほど、海外へ行く機会が中学校・高校とありました。自分はどこへでもいけるし、世界は広い!と感じました。
また、死ぬまでに世界中の本は読めない、という当たり前の事実に落胆したり。なんだか哲学的になってしまいましたね笑
やはり、本というものは自分の世界を広げる有効な手段ですね。
私の「絶対読みたい本リスト」に『青が散る』追加させていただきました!読み終えたら、感想きいてくださいね。
>みいさん
みいさんは大学1年生を終えるところなんですね。
私は育ちが田舎なので、大学1年生のとき東京に出てきて見るもの、聞くものの多くが新しく感じられました。
新しい場所で、新しい友人ができて、自分のなかの世界が広がっていくようで楽しかったです。
だから印象に残っているのだと思います。
実らない恋もしましたし。(笑)
外国に出ていくのも、世界を広げますよね。
みいさんは中学校、高校のときに海外へ2回行かれているんですね。
すごくいい経験だったんでしょうね。人生の早いうちに外国を知ることの価値は計り知れないことと思います。
私は23歳のときに、タイとカンボジアに1ヶ月くらい行ったのが初めての外国でした。
沢木耕太郎さんの『深夜特急』という小説と、映像化されたドラマに憧れたので、バックパッカーの真似事をして旅をしました。
すごく楽しかったです。
外国に行くと、日本という国で当たり前になっていることが当たり前ではないことにも気づきますよね。
何が人間にとって普遍的なことで、何が地域性や時代性による変わりゆく文化なのかといったことにも意識的になりますし。
広い世界を知ること、知らない世界を体験することは自分の想像の範囲を広げますし、それはそのまま自分の可能性の範囲を広げることとイコールだと思います。
文庫本を忍ばせて外国を旅する、そんな冒険心を忘れずにいたいなとみいさんのコメントを読んで思い出されました。
みいさんの「絶対読みたい本リスト」に『青が散る』を加えてもらえてよかったです。
感想、楽しみにしています。
〉澤野さん
環境が変わることで、自分の世界が広がっていく感覚、よく分かります。
私はずっと東京なのですが、大学生になって行動範囲が広がっていくのが新感覚で。
やりたいように、少しづつ自由な時間が増えていくのは楽しい瞬間です。
『深夜特急』に惹かれて旅をされるなんんて素敵ですね!やってみたいです、すごく。少し危険なにおいもしますけどね笑
海外に出て、日本で当たり前のことが当たり前でない現実を目にしました。体感してしまいました。
本当、何が普遍的価値なのでしょうね。
同じ時間に生きている人々の多さに、異文化の存在に、変わっていく時代に気付かされます。
自分の世界を広げるために、もっと本に頼って世界を見ていきたいです。
先日、『青が散る』を入手しました!この春休みに読み進めていくのが楽しみです♪
>みいさん
そうですね。
大学生って、高校生までと比べるとずっと自由度が上がりますよね。
何を勉強するか、カリキュラムや時間割をどう組むか、サークルだったり、バイトだったり、すべてが自分で自由に選べますしね。
これはしちゃいけない、あれはダメなんてことも減りますもんね。
その代わり、自己責任という意味では負担みたいなものも増えるのかもしれませんね。
『深夜特急』知ってましたか。
そうですね。少し危険な目にも会っているかもしれません。
でも、危険な目に会っても、五体満足無事に帰ってこれているので、いい経験をしたなと思っています。
インドに行って、ガンジス川を泳いだこともありますよ。
多少なら、危険な目に会いたがる年頃でした。(笑)
『青が散る』入手されましたか。
お気に召してもらえるといいのだけど。
どんな感想が聞けるのか、楽しみにしています。
澤野さん
お久しぶりです。
『青が散る』の感想、とても遅くなってしまってごめんなさい。
あれから、2016年が始まって春が終わるくらいには半分まで読んでいて。でも夏になった途端、本の世界が全く響かなくなりました。要因は恋愛が無理になったことでした。恐怖みたいな。だから、他の世界に没頭することができなくなっていたんですね。だから2017年になっても、先月くらいまで本が読めなかった。でもなんだか、最近はバイトが楽しくて心に余裕が出来てやっと本を手にする時間が出来ました。
1年間の間を置いて、またページをゆっくりめくっていきたいと思います。
夏が終わるまでには、4年生になるまでには読めるかな?
感想待っててください!!
みい
面白い本はないかなと思い、調べていて書籍の紹介拝見させていただきました。
大学生として今は確かに輝かしい青春時代を生きているんだなと気づかされました。紹介文だけなのに。
とにかく本は大好きで沢山読んでいます。
でも。本ばっかり読んでいてこのままじゃあ、本だけで人生終わるかもと思っていました。
好きなこともバイトも勉強もすべてが楽しくなんの不自由もない。ゆえに「私なにかしなきゃ」と思ってもいて。
やっぱり本が一番ですね、新しい世界を見つめるには。青が散る、読んでみます。