ノーベル文学賞発表のたびに耳にする村上春樹

聞いたことはあるけど、実際に読んだことはない、あるいは読んだけど投げ出しちゃった方もいるのではないでしょうか?

独特な世界観ゆえに入り込めなかったという声も私の周りで耳にします。

普段有川浩や宮部みゆき、東野圭吾などなどを読んでいる方ほど、ハルキ語になれてしまえばどうってことありません!

私も最初は「なんだこれ!?」と思い、何度も読み返しました。他の作家さんの文章では「何か足りない・・・。」と、まるでマヨネーズをかけまくるマヨラーのごとく本棚には「村上春樹著」の本が積み重なり、ハルキ中毒になってしまいました。しまいにはデビュー作の「風の歌を聴け」を布教用に3冊購入し友人に貸したりそのままあげたりしました。ハルキワールドに没入しちゃった筆者が、ハルキストデビューにおすすめの本をご紹介します。

 

順位づけにするのが私の一存では難しかったため、短編小説と長編小説の中から3つご紹介いたします。

今後ハルキワールドを堪能していただくためにも、少し作品のキーワードについても触れておきます

 

 

③ねじまき鳥クロニクル

誰かが世界のねじを巻かなくてはならない・・・謎の女からの電話がかかってくる。

猫が消え、妻のクミコが突然失踪し、物語は展開していく。

歴史や暴力をテーマとした春樹作品90年代の代表作です。

 

この作品では「井戸」が重要なキーワードになってきます。

ファンや文学者の間では「井戸」が「意識下のメタファー」とも呼ばれ、他作品でも登場が多いです。ちなみに精神分析の用語に「イド」という言葉もあります。

エスともいう。 S.フロイトが提唱した精神分析用語。精神分析では,人間の精神構造をイド,自我,そして超自我の3つの領域ないし機能に分けて考察する。そのうちイドは本能的衝動 (リビドー) の貯蔵所で,快感原則に従ってを求め不快を避ける機能を有するとされる。したがって自我や超自我と葛藤を起す。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)

単なる物質的な「井戸」の意味だけではないことが推測でき、いろいろな考察が浮かびます。

また本作品では主人公が井戸の底で降りていくようなシーンがあります。

 

本当に暗いところ、本当に自分の悪の部分まで行かないと、そういう共感は生まれないと僕は思うんです。もし暗闇の中に入れたとしても、いい加減なところで、少し行ったところで適当に切り上げて帰ってきたとしたら、なかなか人は共感してくれない。
『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』 村上春樹

 

本作品を読み終えた後に、この文がより深い味わいとなってくるかもしれません。

私の解釈では、「共感」が一つのテーマとして存在していると思います。

大切な人と長く一緒にいるからこそ分かる生活スタイルや価値観、どういう風に彼女(彼)は育ってきたのか。それを自分は本当に分かっているのでしょうか。結婚や同棲生活を始めた人あるいはそういう予定がある人にはぜひ読んでいただきたい作品です。

暴力もテーマになっていますので、読んでいるだけなのに痛覚や憎しみ、嫌悪がこちらにまで伝わってくる臨場感があり、まるで映像作品を見ているかのようです。

想像を絶するようなグロテスクなシーンがあることと、こちら計3巻で少々長い作品ですので注意が必要です。

 

 

 

 

②羊をめぐる冒険


「あと十分ばかりで大事な電話がかかってくるわ」彼女ははっか煙草を吸って「羊のことよ」と言った。

「そして冒険が始まるの」

 

本作品は処女作「風の歌を聴け」から「1973年のピンボール」の続編で、『僕』という第一人称を中心とした小説です。続編ものだと入り込めないと思われがちですが、この作品はそれには該当しないでしょう。

妻と離婚し、新しくできた耳が完璧のガールフレンドとともに一頭の羊と友人のの行方を追って東京を飛び出し北海道までめぐります。

 

この作品では「背中に星形の斑点をもつ羊」が重要なカギを握っています。

この「羊」が「悪」や「根源的な悪」の象徴として語られることが多く、やはりそのように解釈すると分かりやすいかもしれません。「羊」は人の意識に入り込み、その人の思考を食い尽くす代わりにとてつもない力を与えます。それに相反するように描かれているのが「自由意志」。別の作品の『回転木馬のデッドヒート』でのオープニングでは次のように語られています。

 

我々が意志と称するある種の内在的な力の圧倒的に多くの部分は、その発生と同時に失われてしまっているのに、我々はそれを認めることができず、その空白が我々の人生の様々な位相に奇妙で不自然な歪みをもたらすのだ。
『回転木馬のデッドヒート』 村上春樹

 

もちろんこんな気難しいような哲学的な理由でオススメしているわけではありませんよ!!

この作品がオススメの理由は、この物語は題名の通り「冒険」であり、鬱々と喪失を重ねながらも結末の予感にページをめくらざるにはいられないある種のワクワク感があるようなところです。またエンディングは読者に委ねたようなものではなく明確であり後味は悪くないので大変オススメです。もちろん単純な物語としても楽しむことができますが、さらに読み深めることで様々な解釈が浮かび、あなたの大切な一冊になること間違いなしでしょう。

 

 

③カンガルー日和


村上春樹といえば長編小説をイメージする方も多いと思いますが、

村上文学が初めて!という方ほどこちらの短編がオススメです。

この短編は全体的にとしては、あたたかくさっぱりとしていて牧歌的な印象を受けました。一つ一つの話もとても短いのでパスタを茹でている間ぐらいにも読むことが出来ますよ。

 

冒頭の「カンガルー日和」は、春になるたびに動物園へ行きたくなります。村上春樹の独特で癖になるカンガルーの描写は大変見どころです!

4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」は、新海誠作品のようなどこか切ないメロドラマ的要素を感じさせます。「1Q84」の土台であるとも言われていまよ。

あしか祭り」は酔った勢いであしかに名刺を渡したら、あしかが家に来てしまうという不思議なお話です。リアルな日常のなかに非現実的な要素が含まれるという村上春樹作品がもつ面白さをこのお話だけでも堪能することができます。

そのほか全18編のショートストーリーはハルキワールド全開です。

 

 

以上3作品をあげさせていただきました。「1Q84」「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」などが有名作品ですが、今回はあえてこちらの3作品を挙げさせていただきました。もちろんどれも素晴らしい作品ですのでぜひ読んでみてください!

 

羊をめぐる冒険」や「ダンス・ダンス・ダンス」など、村上春樹の作品には北海道が多く登場し、読んでいると行きたくなってきちゃいます。

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